ロジックとセオリーの効用
織田 聡氏
運営者 しかしですね、本来はそこのところが分かってる人間だけが経営者になるとか、経営判断するべき立場に上っていくべきなのではないでしょうか。
織田 直感を持っている天才というのは少ないでしょうね。
運営者 つまり経営感覚というのは、天才的なスキルであるということですかね。
織田 そうすると、芸術家ぐらいの比率でしか「名経営者」というのは生まれないということになってしまいますね。
運営者 しかし実際「名」がつく経営者というのは芸術家並に少ないでしょうね。やっぱり、松下幸之助は凡人には到底まねできないですもん。
織田 だから、歴史に残るような名経営者でなくても、それより一段下でも、資源を有効に活用して株主に報いるような効果的な経営をする経営者というのは教育によって産み出すことは可能だと思うんですよ。
運営者 それができるだけで、十分なんですけどね。必要なのはそういう人材ですね。
織田 例えば統計学という学問は、世の中の事象を判断したり予測したりするものですよね。だけど、直感的な判断力がある人であれば、「こことここは相関性があるぞ」とか、もって生まれたセンスによって判断できるわけですが、それができない人のためにああいう客観的な学問があるわけです。
運営者 多変量解析だの回帰分析だのの方法が確立しているわけですね。
織田 マーケティングでもそうですよ。直感的なマーケッターだったら、「こういう人たちにはこういうものが売れるだろう」とわかるわけですけれど、そうではない人のためにセグメント分析とかニーズウォンツ分析というのができてきたわけです。
天才は、そのようなフレームワークなしでも、「この人にはこれを売ろう」というアイデアが出てくるでしょう。それが長続きすればいいんですけど・・・。
運営者 やっぱり、そういうすぐれた直感力がずっと長続きするとは限らないですよね。
織田 だから再現性のある成果を出し続けるためには、ロジックおよびセオリーが必要だと思うんです。そしてそれは、決して一部の人しか習得できないものではなくて、ステップを踏んでいけば、極端な話だれだって修得できるものなんですよ。