経営能力を身につける学習とは
織田 聡氏
運営者 そうしますとね、僕の問題意識というのは、そのように勉強すればだれでも身につけることができるものなのだから、組織人としてのキャリアを登って行く途中で、必ずそれを身につけねばならないのではないのかということですよ。
織田 そのためには、学習が必要です。OJTじゃない学習が必要なんです。
運営者 でもそれは、本を読んでも、座学でもできることだと思うんです。
そうしたロジックやセオリーと、自分が心の中に持っているある核が触れれば、そこから経営感覚が磨かれていくわけで、よほどメタメタに経営センスや計数感覚がない人は別かもしれないけれど・・・。
織田 そういう人は組織の中で上に行ってはいけません。
運営者 そうでなければ、どんな人でも経営感覚を磨くっていうことはできると思うんです。ところが、何が問題かと言ったら、そういう必要性があるということはわかっているんだけれど・・・。
織田 それすらわかっていない人も多いんですけどね。
運営者 それは上司が、そういう感覚が必要なんだということを言えばいいんですよ。
問題はね、どの部分の、どういうセンスが必要なのか、ビジネスセンスというのは何なのかというコンセンサスがないところにあると思うんです。
これはビジネス・ジャーナリズムの仕事でもあると思うんです。つまり「経営センスの中で、磨いておかなければならないものはこういうものなんだよ」ということが、きちんと整理されていなければならないと思うんです。
それがね、向学心のある人がたまたま書店に行ってみたらアカウンティングについての本が置いてあります。そうすると、「アカウンティングというものがある、そういう細かいノウハウを勉強して、頭の中に詰め込むことが大切なんだ」とみんな思ってしまうんじゃないかなと、それはよくないと思うんですね。
そうでなくて、自分が直面している、現在の数字をどう判断するか。このくらい投入すればいけるだろうし、どのくらいだったらダメなのかというところの価値判断力、論理的思考能力こそが必要なんだと思うんです。
そういう核になる目標を見据えずに、細かい枝葉ばかりを詰め込まれたら、勉強する側だって飽きるじゃないですか。
肝心な部分だけを、効率的に教えようとする姿勢が、まだなかなかないんじゃないかなと思うんです。
織田 空元気を「リーダーシップだ」と勘違いしている人たちと一緒の病理ですね。
運営者 ぜんぜん変わりませんね。だけどそうやって「オレは勉強した」と思い込んでいる本人たちは、「レベルが違う」と思っているんです。
織田 それは、まったく成果志向ではないということですよ。プロセス重視ですよね。