CRM・・・そんな本質的な議論はない!
織田 聡氏
織田 顧客との関係性の維持そのもの、あるいは顧客情報の蓄積だけが目的化しているケースが多いんです。
運営者 それじゃ、ただのデータベースじゃないですか。
織田 世の中のCRMの7割8割は失敗だと思いますよ。
運営者 だけどまず最初に、「顧客が商品のどこに価値を認めているか」ということを分析するんですよね?
織田 いや・・・。
運営者 えっ、違うんですか? はあ?
織田 驚くべきことに、そうじゃないんですよ。「何回来店したか」とか、「どこでだれが何を買ったか」とか、それをデーターウエアハウスに入れること自体が目的化してるんです。
運営者 「客がその商品のどこに魅力を感じて買ったのか」とか、「ライバル商品との違いはなんだと思っているのか」とか、そういう情報は?
織田 そんな本質的な議論はないんですよ。そうじゃなくて、「何回来店した人にはこの投資信託を売ろう」とか、「1年間支店に来店していないから、この挨拶状を送ろう」とか、そういう感じですよ。
運営者 それって、10年前のレベルじゃないですか。10年ちょっと前に営業現場でのそういう話を聞いたもんで、それは面白いなと思って記事にしたんですよ。「CS」という言葉が出始めたころですよ。だからそこからさらに進んでいるだろうと思っていたのですが。
織田 現実はそんなもんですよ。
確かにそういうインテリジェンスを持っている人がいる会社は強いですよ。でも、インテリジェンスがきわめて属人的になっているから、担当者が変わったら、その本来の目的意識が消えちゃうんですよ。
運営者 進んだ外資系企業でも、人がいなくなっちゃってダメになっちゃうというパターンですね。
そんなもんなんですかね。
織田 山本七平がこんなことを書いていたと思うんですが、「日本陸軍の最大の罪は、言葉を奪ったことである」というんですけれど、それは企業にも言えると思うんです。
運営者 『ある異常体験者の偏見』の中では、「軍人的断言法の直接話法」の「沈黙の話法」という言い方で、
「ある一つの基準を絶対の権威として、すべての人間はそれに基づいて判断を下すこと、そしてこの基準への反論もしくは疑問の表明は一切許されない」「その第一歩は、その基準に基づく一方的な"反省の強要"という形で行われる」「”キサマら反省がナイッ、ナラベッ - (整列、ビンタ) - ワカッタカ””ハイ、ワカリマシタ”- 一体全体、何が"わかった"のであろう」
・・・と、極めてわかりやすく書いています(笑)。