タスク設定の大切さ
織田 聡氏
織田 アメリカはなぜダイナミズムを失わないかというと、先進国と途上国が同居しているからではないかと思うんです。生活水準がピンからキリまでありますし、ある意味では生活水準の格差を見ていると、アメリカとインドは似ているなという気がします。
運営者 マハラジャから不可触賤民まで。
織田 移民をどんどん受け入れているから、国としての活力が失われていないと思います。
1人当たりGDPとオリンピックの金メダルの数は、あるところまで行くと減っていくんだそうです。イギリスなんか駄目じゃないですか。だけどアメリカって、あれだけ豊かな国だけど、金メダルの数は多いでしょう。あれはアメリカの中での低開発国人間が取っているんです。
運営者 低開発国からやってきて、アメリカに亡命してるんじゃないですか。
織田 豊かになると、進歩へのドライブが薄くなってしまうのかもしれませんね。しかも日本もヨーロッパも歴史があるから、進歩を志向せずとも安心できる寄る辺があるでしょうから。
運営者 今度は、ビジネスマンの持つべき資質について少しお話しいただけますか。
織田 顧客にとっての価値をつくり出すことができるかどうかですよね。
で、それを要素分解していくと、状況を知覚できる背景知識なり洞察力があるかどうか、目標をどう設定できるか、目的を達成するための行動を行動要素に分解する力があるかどうか、その中には対人スキルや集中力も含まれます。さらにインフラとして基礎学力があるかどうか、文章力や語学力、計数能力、歴史の知識。
それと、役人であろうが、政治家であろうが、「自分のカスタマーは誰か」ということをしっかり定義して、「何が自分に求められているのか」というタスクを定義できる力がたいへん大切だと思います。そのタスク設定の大切さを知っているというか、そうした必要性に迫られている人が企業の中では少ないですね。
運営者 タスク設定もできなければ、アジェンダ・ビルディングもできないですよね。
織田 それでこれまでは許されてきたんじゃないのかな。
運営者 それを許さないようにするためにはどうすればいいんでしょうか。
織田 やっぱり顧客が賢くないといけないでしょうね。顧客が自分自身の運命を決定する張本人として、無駄なものは買わないとか、無駄な会社には投資しないと・・・。
運営者 賢い消費者になりなさいと。