結局のところ、目的的に動いていない
織田 聡氏
運営者 それは上司が「仕事が面白い」と思ってやっていないからでしょうね。面白かったら、言葉にしなくても伝わるもんですよ。
織田 だからそこがフィロソフィーの問題で、「自分は何のためにこの仕事をやっているのか、自分の存在意義は何なのか」ということを考えて仕事をしていないんです。
運営者 もしその仕事をやっている時間が、人生の中で一番長いのだとしたら、それは人生の目的が何なのか自分でも知らずに、ただ生きているだけの存在であって、家畜と一緒ではないかと思いますね。
織田 でもそういう人が多いですよ。
運営者 織田さんの観察を疑うわけではありませんが、僕の周りにはそういう人はあまりいないんですよ。僕は友だちに恵まれているほうだとは自分でも思いますけどね。
あー、でも前勤めていた会社はそんな人ばかりだったなー。
僕は織田さんが、日本のビジネスマンの意識にそんなに煩わされているとか、深い問題意識をお持ちだとは知らなかったですよ。
今伺っている内容は、僕がこれまでに書いたことや、いま日経BPのサイトに連載していることとぴったり重なっているんです。
こういう考え方をしてみましょうか。織田さんがコンサルティングで「こういう戦略が御社に適当だと思いますよ」という処方せんを書きますよね。そのロジカルな処方せんと、僕が追求してきたようなビジネスマンの意識の間には接点がないように思うんですけれど。
例えばフィリップ・コトラーの「3C」では、日本というのは解決がつかない世界なわけじゃないですか。
織田 結局のところ、目的的に動いていないんですよね。
運営者 (爆) それは、人間の尊厳にかかわる問題だと思うんですけれど・・・。
織田 つくづく考えるのですが、結局企業経営のために働く社員の活動というのは、本来、目的的でなければならないんですけれど。
運営者 それを前提とした話をしてるはずなのですが(笑)。
織田 大前提ですよね。だけどその前提を共有していない人が多いんです。
だから、僕がコンサル先の会社へ出かけていって、ミクロの課題、たとえば問題分析に入る前に、「そもそも個々の部署が世の中に問うべき成果というのはなんですか、そしてその成果を達成するために障害になっているものは何ですか」というギャップ分析から始めるわけなんです。
運営者 わかります。