目的意識のない人の仕事がダメな理由
織田 聡氏
織田 で、「オタクのミッションなんですか」と掘り下げた質問をされていって初めて、「あー、うちはこれが目的だったんだな」ということがわかるわけです。
運営者 困りましたね~。
織田 実際は、目の前の仕事を右から左に流してこなしていくことが目的化してるんです。
それで僕は、「そんなことではいけない」ということを気づかせるのが、リーダーの役割だと思うんです。
運営者 だけど、リーダーもそう思っていたとしたら、もうアウトですよね。
そうするとですね、僕は仕事っていうのは、こういうふうに考えているんですが、価値として最低限提供しなければ形にすらならないというものはあるわけで、それは大抵の人はいくらなんでもこなそうとするわけです。
だけど本当は、ちょっとだけ頑張れば、そこからもうちょっと先に行くことができるんです。そして、そのもうちょっと先に行った部分、そこが競争力になるんです。
しかし、目的的に動いていない人というのは、「最低限提供しなければならない部分だけをやればいいんだ」というふうに目標を定めてしまって、それをこなすだけで精いっぱいになってしまう。だけどそれでは、本来の競争には負けてしまうレベルのものしかできませんね。
ところがなぜそれで生きていけるかというと、ライバル企業も同じようなレベルの競争をしているので、お互いなんとかやっていけているというのが現状だと思うんです。それだとまったく進歩はないんですよ。そんなものを買わされる消費者はいい面の皮ですよ。
織田 中堅企業が戦略を考えていないというのは、なんとなくそうかなという感じはするんです。
でも大企業もまったく考えていないですね。それは目的的に動いていないからです。だから、日本企業の低迷の非常に大きな原因は、「そもそも目的が何かということを意識していないこと」にあると思います、それも上から下まで。
運営者 おみこし経営なわけですから、目的なんか持つ必要がなかったからなんですよ。
そうすると、ミッションとかバリューとかについての意識をビジネスマンに持たせることが今後できるのだろうか、どう思われますか?
織田 それはできると思いますよ。ミッションを売り歩いているミッションの行商人のようなコンサルティング会社もあるわけで、外部から買うこともできるでしょう。だけど、その企業の持っている個別の問題の背景を、コンサルタントと共有できていなかったら、コンサルティング会社が書いた文書に魂が入らないんですね。
それは、受け手の経営者の側にも問題が多いんです。僕もだんだん役員クラスの人と近くで話をするような年になってきたんですが、なかなかやはりダメな人が多いんですね。