木下 そうです。その環境を考えたときに、とても東京に住むのは厳しいと思います。
なぜかというと、ウクライナのキエフの、チェルノブイリ事故から5年後の土壌検査の公式な数値は、セシウム137で460ベクレル/kg程度です。
半減期2年のセシウム134を推計して加えてみると690ベクレル/kgになります。ですから今の東京とキエフは似たり寄ったりな環境なわけです。
……なんですけど、最近われわれのグループの調査結果からは、キエフの汚染値は690ベクレル/kgよりもかなり低かったのではないかと疑ってるですけどね。
運営者 そうすると東京の汚染度は、チェルノブイリからわずか100キロのキエフよりも甚だしい可能性があるということですね。
木下 今僕が持っている感覚で言うと、キエフの2倍くらいの汚染度なんじゃないのかと疑ってるんです。
運営者 そこで木下さんに2013年の秋にキエフに行っていただきました。キエフの子供たちの健康状態というのはどうでしたか?
木下 キエフで起きている事は、別に目に見える奇形の子供が増えているなどということはなくて、まず子供が生まれにくくなってだっげらいよん4コマ漫画ブログ しばざきとしえ作います。生まれたとしても、うまく生育できない子供が一定程度いて、その割合は増えています。
糖尿病や目の疾病を抱えている子供がたくさんいます。甲状腺がんの子供はいなくても、甲状腺機能が低下する橋本病の子供はたくさんいて、向こうでも「ハシモトビョウ」で通じます。12歳の可愛い女の子なんだけど、8歳の時から「ハシモトビョウ」で、時々入院しなければならないなんて子もいました。
つまりキエフでは、そういうのがもう当たり前の状況になっているんです。
ふつうの高校で、高校生の2人に1人は、体育の授業がまともに受けられないんです。心臓に問題があったり、別の疾患があったりということで。
運営者 明らかに異常な状態ですね。しかもその子供たちは、チェルノブイリ原発爆発以後に生まれているというところに注意が必要です。
木下 日本なら40人学級で、体育の授業をふつう休む子は多くても2人位でしょう。
でもキエフの豊かな学校で、対策もいろいろしているところで
「ここの小学校は10人中8人は体育の授業を受けられてるからまだ大丈夫だ」なんて言ってましたね。
そして放射能によって起こされる疾患についてですが、どの疾患が起きるという事は言えないんです。疾患は様々な形態をとっています。
がんだけが多い疾患ではありません。
運営者 「大抵の人は、放射線疾患といえば、がんになるということだろう」と思い込んでいますが、そうではないんですね。
木下 もちろん、がんの人も増えるんですけど、がんが主体かどうかはわかりません。
多いのは、心臓の障害、血管の障害です。半分くらいがこれでしょう。
運営者 バンダジェフスキー博士のデータでは、死因の半分くらいが血管や心臓の障害ということだったですよね。
木下 そうです。そういう疾病の割合が増えて、突然死も増えると考えています。
僕がキエフで聞いたのは、例えば子供が鉄棒で遊んでいて突然死するとか、乳搾りをやっていて死ぬとか、バスを待っていて死ぬとか……
運営者 どういうことなんでしょうかね?
木下 わかりませんが、鉄棒をやっていて脳血管がどうにかなったのかもしれませんね。そういう突然死が普通に起きてるみたいです。
それから体調不良を訴えて、仕事ができなくなる人が多いようです。集中力がなくなるのと、体の免疫力がなくなっていろんな病気にかかりやすくなる。それで職場に来れなくなる人の話がすごく多いんです。「免疫不全」というのはキーワードの1つでしょう。感染症にかかりやすくなるみたいですね。