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木下黄太氏インタビュー 今そこにある「放射能危機」の本質
恐ろしい吸気被曝、回復可能なポイントを超えると身体症状が

だっげらいよん

インタビュー時期 2014年4月

首都圏土壌調査結果MAP/放射能防御プロジェクト 首都圏土壌調査結果MAP/放射能防御プロジェクト 黄色以上のところは、チェルノブイリ基準ではヤバイってことですよ。

運営者 そうすると、キエフの街の雰囲気って、どうなんですか?

木下 経済的にも政治的にもいろんなことが起きているということもあって、なぜそうなっているのか確認が取れないところではあるのですが、一見普通の街に見えますが、東ヨーロッパの他の都市に比べて発展の立ち遅れを露骨に感じました。

町を歩いている人は普通なのですが、チェルノブイリで働いている人や、土壌測定を仕事としている人と会うと、言ってることがおかしかったり、目つきがおかしかったりしましたね。目線が合わなくて、伏目がちになって、妙に違和感のある赤ら顔なんです。

運営者 被曝してるんですね。

木下 していると思います。他のウクライナ人には、そんな人はいませんでしたから。高度被曝ゾーンに行ってませんから。
測定している研究所に行ってみると、土のサンプルとかその辺にほったらかしにしてましたからね。

運営者 では、チェルノブイリからセシウム半減期近い歳月が経ったウクライナのさらに詳しいことについて興味がある人は、木下さんのウクライナ報告会に行っていただければ、ビデオ映像付きでウクライナの現状を知ることができますからそうしていただくとして、話を東京の危険度の話に戻したいのですが、東京というのははっきり言って世界一繁華な街ですよ。オリンピック誘致も決定して、「放射能など東京には関係ない」というキャンペーンが官民あげて進んでいるわけですが、木下さんの感覚で言えば東京の汚染度キエフの2倍ということです。
それでは、東京の危険度をどう考えるべきでしょうか?

木下 枝野氏が、「直ちに健康に影響ない」と言ったじゃないですか。あれは福島に関しては当てはまるかどうか疑問ですが、東京のほとんどの部分については、彼の言っていたことは正しいですよ。
ただちに健康に影響はありません。ただし慢性的な疾患が起きる可能性は極めて高いと私は思います。

運営者 人間が放射性物質を体内に取り込むパターンは、外部から浴びるか、皮膚に付くか、消化器官に入ってある程度の時間で排出されるか、呼吸器に入ってとどまるかという形ですよね。
これによって今後、どのような慢性的疾患が起きる可能性があるのでしょうか?

木下 一番まずいのは、たとえ微量であったとしても放射性物質を吸引して肺の肺胞の中に入ると、血流がそこを通るので血液がずっと汚染され続けるわけです。そしてまた放射性物質の量もちょっとずつ蓄積されて増えてしまいます。
またその放射性物質は、ホールボディーカウンターで測定したとしても微量すぎてでできないレベルだと思うんです。下手をしたら、何粒かのパーティクルでそうしたことが起きるかもしれません。
そうするとどんどん血液がおかしくなっていくのですが、急激に悪化するわけではなくて、徐々に悪化していき、どこかの時点で回復可能なポイントを超えることになると私は思います。

運営者 身体症状が出るかどうかのクリティカル・ポイントが個々人にあるということでしょうね。花粉症と同じだな。

木下 3年という時間経過は、そろそろそのクリティカル・ポイントが見え始めるころなのだろうと僕は思います。
これは放射性物質の専門家の間での見解としてあるわけではありませんが、他の化学物質の事例を参考にすると考え得る事です。

運営者 アスベストとか?

木下 アスベストは、すごくいい参考事例だと思います。アスベスト工場だと、煙突の高さから拡散度を考えて、2~3キロぐらいまで影響があると予測できます。
放射性物質でも同じ考え方ができて、高速道路危険と言うのですが、高速道路は煙突よりも低いですよね。だから1~2キロくらいまでは有意に危険であると思います。
アスベストの場合はその範囲で10年以上住むと、身体症状が起きています。だから福島から遠隔地の場合における放射性物質の危険性は、慢性的に一定量吸引し続けるかどうかがポイントになるはずです。
福島第一原発に近い住民の場合は、放射性物質がその辺を飛び交っているわけですから、高速道路の高架に近いところの住民よりも全然危険性は高いはずです。

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