増える岡山への移住相談...現状は?
2014/5/15 KSB瀬戸内海放送ニュース 特集枠
運営者 なぜそうなのかなんですけど、「福島第一原発由来の放射性物質による健康被害って、実際に起きてるんですか?」と聞かれたら、どう答えますか?
木下 少なくとも、政府も認めている甲状腺の疾病の悪化は起きています。
運営者 2014年2月に、25万4000人の子どものうち33人が甲状腺がん、がんの疑いがある人を含めると75人
2014年5月には、50人が甲状腺がん、がんの疑いがある人を含めると89人
になったと福島県が発表しています。
でも推進派の連中は、「福島で甲状腺がんの子供が多いのは、スクリーニング効果である」と言ってますよね。つまり、検査をしたから、ふだんは発見されない甲状腺癌の事例が見えるようになったのだと。
木下 しかし、甲状腺検査の結果として一定数甲状腺がんの子供が出てきたのであれば、スクリーニング効果か否かにかかわらず、「それは放射能の影響で出てきた可能性がある」と考えて対処するほうが普通なんですよ。
運営者 そう考えない理由は無いですよね。
木下 「スクリーニング効果であるかもしれない」という可能性は僕も否定しません。だけど、「スクリーニング効果でないかもしれない。現実の健康被害かもしれない」という考えを否定するほどの論拠もないと思います。だから結局のところ、「福島の子どもに甲状腺がんが一定数発生している」と考えるべきなんです。
甲状腺機能低下をもともと患っていた人たちが、10年間以上薬を飲み続けて状態を安定させていたのに、福島第一原発事故後から突然数値異常をきたしたというケースは、何例も聞いています。
運営者 甲状腺への影響はあったと見るべきですね。「経過観察」という名の放置は、この状況では犯罪的だと思います。
木下 それから東京で子どもを、事故後に千数百例、見続けている開業医のデータでは、血液像が明らかに悪いほうに偏っている。好中球の減少傾向が如実に出ています。特に首都圏の東側の地域に顕著に出ています。この状況にはまちがいがありません。
以上の点から考えて、健康被害が起きることはまちがいがないと思っています。特に好中球の減少傾向が続くと不調はどうにもならなくなる可能性がある。そういうギリギリの状態がずっと続いている感じです。
それがブレイクしたら……終わりなんです。
運営者 政府は放射能の危険性を認めず、予防措置を全く取っていないので、おそらくブレイクすることになるでしょう。
木下 東京とチェルノブイリの大きな違いは、どんなに多く見積もっても東京とほぼ変わらない程度、下手をすると半分程度の汚染を受けているキエフでも、事故後数週間後からではありましたが、キエフ市内の子供たちを全員、安全なエリアに避難させているんです。
その後キエフの街を除染して、夏を越えてから子供たちを戻しています。そういうことをやっているキエフと、ほったらかしにしている東京では、露骨に違うことになると思います。
運営者 決して期待するわけではありませんが、いつブレイクアウトしますかね?
木下 それは何時かわかりませんが、少なくとも過去3年以内ではなくて、ここから始まる話なんですよ。
だから今の時点で、国連科学委員会(UNSCEAR)が2014年4月に出した「福島での被ばくによるがんの増加は予想されない」といった報告書について「これは正しい」などと書いている大新聞の科学部の記者がいたりしますが、がん的な事象については最低でも5年、できれば10年のスパンでもって考えなければ判断することなどできないんですよ。
がんについての放射能の影響を事故後3年間でどうこう言うのは事実上不可能なんです。「疫学的に考えて、福島の子供の甲状腺がん増加はスクリーニング効果だ」と言い張ってる人たちが、一方では「福島原発の放射能ではがんはできない」と言い張ってるですから、疫学的に考えるなら、とんでもない矛盾ですよ。