運営者 報道のまちがいが、事実の把握を難しくして、問題を拡大しているわけですが。
木下 「画期的な発見があった」というニュースを丸呑みして、報道してから矛盾が出てきて慌てている。だけど矛盾があるという事は、調べれば最初にわかったわけで、それを確かめることもなく、発見が本当か嘘かを考えることもなく、別のものをクローズアップしているわけです。おかしいですよ。
画期的発見を売り出す研究所や大学、それを無自覚に持ち上げるマスコミ、そういうことを支えている構造は、原発を支えている仕組みと共通するところがあると思いますよ。
運営者 それで健康被害に話を戻すと、突然死の報告例は非常に多くて、2chにも有名人の突然死スレがあるくらいです。
でも突然死が増えているのかというと、データがないからわかりません。
木下 そうですね、わかりません。僕のところに来る健康異常報告数は、ここのところ下がっている傾向です。これは僕のブログを読みたくないとか、僕に関わりたくない人が多いこともあると思います。
だっげらいよん4コマ漫画ブログ しばざきとしえ作僕は、そうした報告についてはすべて電話確認をしています。そしてその報告数が減少している理由は、健康被害がなくなったというよりは、「報告しなければならない」という意識が低くなったり、「健康被害自体を見たくない」と思う傾向があるので、実数については僕のところに来ている健康被害の報告から判断することができません。
ただし、報告して来ている人たちの意識としては、もう当たり前のように「起こるべきことがおきました」という感じに変化してきています。
運営者 だけどそれは、いわゆる「放射脳」として、放射能の被害を深刻に受け止める傾向のある人たちだから、そういう言い方をしているわけですよね。
木下 ただこれは、ジャーナリストとしての勘として言わせていただきたいのですが、僕も東京で何十年も生活していて、目の前で人が倒れるところなんか見たことないですよ。
でもこの前たまたま東京に行ったときに、僕自身そういう屋外で人が倒れた事象を目の前で初めて目撃してます。偶然かもしれませんが、身近にもそういうことはあります。
運営者 そういえばこの前、名古屋の会合で聞いた話で、東京で焼鳥屋の店員さんが、鼻血を出しながら注文をとっていたという話を聞いて爆笑しました。漫画にもならないような話が実際に起きているようですね。
木下 でもそれは放射能の影響かどうかはわかりません。突然死が大量に起こっているわけでもないんです。ただちょっと増えただけで、日常生活の中では識別がつかない感じなんだと思います。
運営者 健康被害がじわじわと起きつつあるけど、突然死がそうだと断定できるわけではないという状況です。
そうするとわれわれとしては、こうした状況に対処して生活するために、「放射能防御」という概念が出てきます。