運営者 人体をいかに放射性物質の影響から守るかについての総合的な方策を考える必要があります。
われわれは避難直後から放射能防御の必要性に気がついて、どうするべきか考え始めたわけですが、その最初の1つが、食品についての放射能防御でした。
発災直後の初期の木下講演会では、福島原発の状況がどうなっているかということと並んで、食品の危険性について話していたと思います。
3年経って、食品の放射能汚染の現状についてどう評価していますか?
木下 実は僕は当初、もっと高濃度な数十ベクレル単位の食品が出回る可能性があるのではないかと思っていました。
ところが、実際に蓋を開けてみると、魚類を除いて、陸上で栽培してるものについては、移行率が高い作物は限定されていて、そのなかでも麦とか日本では生産量はそんなに多くないわけです。米については、放射性物質がたまる部分は糠ですから、食べるときに捨ててしまうのでほとんど関係ありません。だから汚染度が高いものは限定されてるんです。
運営者 しいたけとかきのこ、たけのこ、れんこん、山菜とか、川魚、あとベリー、そんなもんですよね。
木下 そうなってくると、日常的に日本人が食べているものの中に高濃度に放射能に汚染されているものは少ないんです。
さらに日本の農作物は、化学肥料を大量に使って栽培されているわけですが、化学肥料を使っている作物には放射性物質の移行が少ないということがあります。微量の化学物質が入ることによって、放射性セシウムなどが入りにくくなるからです。
運営者 なるほど。
木下 そういった事象が相まって、思ったよりも食品の汚染度は低かったのです。これはよかったことです。
加工食品に関しては、国産の原材料が高いので、輸入した作物を原材料に使っているケースが多いんです。輸入食品であれば危険性は低いですよね。
ウクライナやベラルーシの場合は、地場のものを食べるしかなかったわけですが、日本はそもそも食料自給率が低くて、主食の米については放射性物質がいちばんたまる部分は食べずに捨ててしまうわけですから。ですから食品による放射能汚染を皆さん過剰に心配していますが、僕は特に非汚染地では、一定程度の警戒をしていれば、それ以上神経質になってもあまり意味はないのではないかと思っています。
しかしファクターとして汚染程度がわからないのは魚です。
運営者 みんな一生懸命測定してるじゃないですか。
だっげらいよん4コマ漫画ブログ しばざきとしえ作木下 だから海域と魚種に気をつければ食べられるのではないのかというのがふうつの判断なのですが、怖いのは海中に放射性ストロンチウムが大量に出ているということです。
セシウムが少しでも検出される魚は、セシウムと同量くらいストロンチウムがあってもおかしくないわけですから、全く食べるべきではないと思います。
そう考えると、セシウムが検出されていない海域と魚種を厳密に選んだ方が良いでしょう。つまり北海道から静岡まではアウトなんです。そのくらいのことで、今のところはまだ凌げるかなぁと思っています。
運営者 三重で水揚げされる魚には注意してますけどね。
木下 給食については、給食の危険だけが圧倒的に高いということはないですよ。ただし給食には雑多な食材が入っているので、雑多なものが入れば入るほど、汚染地に近ければ近いほどリスクは高まると思います。だけど基本的には雑多ですからね。
運営者 陰膳方式だと、ほとんどセシウムは検出されませんね。でもしいたけだけ測れば大抵検出される。
木下 そう、そういうものだと考えるべきです。もちろんそのレベルのものでも「子供に食べさせたくない」と思う親であれば、給食を拒否すればいいんです。
そもそも今の日本で、栄養上の必要から給食が必要であるという事は無いわけじゃないですか。そうした状況の中で、あえてなぜ全員が同じものを食べなければならないのか僕には前から理解できませんよね。給食問題は、単純ではありません。