運営者 菅政権の時に細野豪志環境大臣がごり押しした放射性瓦礫の全国拡散政策についてです。
これは被災地域の震災がれきについて、8000ベクレル/kg以下であれば一般廃棄物として焼却埋却処理ができるということにして、それを全国の自治体に1トン当たり約10万円のお金をつけて流そうとしたという驚くべきアホ政策です。
これについて思い返していただいて、何が最大の問題点だったと思いますか?
木下 結局、
「今のところ、福島では健康被害が起きていない」
ということをすべての前提としていて、さらに
「福島で被害が起きないのであれば、多少は損害を分かち合ってもいい」
という仮定を立てて、すべての政策を推し進めているわけです。
その思考形態全てがそもそもの問題なんです。
運営者 なるほど、政府は「放射性物質による被害はあまり起きない」と勝手に算盤を置いているわけですね。
木下 そう。だから「瓦礫を拡散してもよい」ということになる。
そうではなくて、
「福島の状況は非常に厳しい」
という判断をして、それを前提にすれば
「瓦礫はそこに置いておくしかない」
という判断になるはずなんです。
だっげらいよん4コマ漫画ブログ しばざきとしえ作運営者 しかしそうはならなかった。
そうした誤った政策判断に基づいて、北九州でも放射性瓦礫を燃やしたし、大阪でも燃やした。静岡の一部でも燃やしました。東京では、石原都知事が一番に手を挙げて、バンバン燃やしている。
ある区の焼却場が「バグフィルターがあるから大丈夫」って、「そのバグフィルターはどう処理するのか」と聞いたら、「焼却炉で焼く」って、それじゃますます濃縮されるだろうと。そういうレベルで東京に放射能が持ち込まれている。
そうやって福島由来の放射性物質の、不必要な全国拡散が行われたんです。しかも焼却して濃縮し、危険度をさらに高めてしまった。
神奈川県はすんでのところで踏みとどまった。愛知県は大村秀章という馬鹿な知事がいて、「百万トン受け入れる」と宣言し、焼却場を持っている市町村に断られると、「県が新たに焼却場を建設してまで放射性瓦礫を受け入れたい」と言って強引に受け入れを進めようとしたんです。焼却は県の仕事じゃないのに。狂っています。これは住民が立ち上がって差し止めましたが。
木下 まあ金に目がくらんだというよりは、自分の面子なんでしょうね。
福島原発事故以来ずっと思っているのですが、政治家に限らず日本人の中には、自分のメンツにこだわるあまり、「ほんとはこれは良いことなのか、どのくらい利益が上がるのか、それともどのくらいマイナスになるのか」といった想定や計算をしない人が99パーセントじゃないのかなと思うんですよ。
つまり育ちが良くて頭の良い人たちの集まりというのは、「これまでの日常生活がずっとこれからも続いていく」という前提の中でサイコロを転がしているだけのことを続けていて、こうした過酷事故のように「これまでの日常生活が続かなくなる日が来る」なんて想定はできないんです。
政治家たちも、もし「放射能によって健康被害が起きる」という想定が本人の思考の中に少しでも入ってくれば、判断は変わってくるはずなのですが、そういう思考にはならないみたいなんです。なぜならば、彼らの頭の中には「これまでの日常生活を超えることは起こり得ない」という想定があるから。
僕は報道の現場経験で、自分の身にもリスクが降りかかるかもしれないといとうころをギリギリかいくぐりながら、複層的に考えてやってきたわけですが、その僕の目から見ると、日本人の中でそういう考え方をする人はほとんどいないと思うんですね。
運営者 実業界では、「変化に対応できる人がリーダー」とされてるんですけどね。頭がいい人はいくらでも居るけど、なかなかそういう人材はいません。また評価されにくいので浮かび上がってきません。