運営者 それで、原発事故による大量の放射性物質の拡散からすでに3年が経ちました。
日本政府は「3年間われわれは何もしなかった」と威張っていて、「さあ再稼働だ、オリンピックだ」と言っているわけですよ。どうなんですかね、この国に居続けるということは。
東北や関東の人たちの初期被曝に対しても、全く対応せずに来てるじゃないですか。
木下 いい感じで来てますよね。
海外に行くかどうかということについてですが、僕は放射性物質の汚染を考えて国外脱出する必要はないと思っています。西日本や、北海道の大半の地域にいれば、ほぼほぼ問題はないと思います。
だけど僕自身が日本にいて大丈夫かというと、それはまた別の問題で、僕はある日突然政府に拘束されるかもしれないということは、ずっーと考えて生きています。
それと自分が所属していたマスコミというところが、ここまで僕の足を引っ張るとは思っていませんでした。僕は20年間以上いたマスコミで悪いことをしてきたつもりはなくて、ある程度の貢献をしてきたつもりです。でもその人たちの中に、率先して僕の足を引っ張っている。この人たちはジャーナリズムなんでしょうかね。国際的なレベルでだめだと思います。そういう事態に今の日本はなっているということです。
下手したら戦前に戻るかという話ですよ。戦前といっても、あのような目に見える強権発動になるとは限りません。「柔らかいファシズム」、わかりにくい形のファシズムが世の中に広がるんじゃないかな。それがまさに今リアルに起きている。それに気づいてないマスコミ人がたくさんいる。気持ちが悪いです。
運営者 自分で勝手に報道内容を自己規制してますからねえ。まったく政府にとっては世話のかからないジャーナリズムですよ。恥ずかしいレベルですよ。本人たちにはわからないんだろうけど。
今は国民こぞって「原発大政翼賛」なんですけれど、マスコミもそれを一歩下がって認識することができないし、ましてや批判できない状況に陥っています。
木下 だからそれがあまりひどくなるのであれば、僕は国外に出るという選択肢を考えます。命の保証がないですからね。
でもそこまで行かない限りは、まだ外国に行かなくてもいいかなと思います。そのギリギリの線を測っているのですが、そんなことを考えずにどんどん海外に避難していく人がいます。
運営者 多いですねえ。
木下 でもそんなに海外に避難して大丈夫なんですかと僕は逆に危惧しています。心配しています。海外に行って単純に解決するほど、ことは簡単じゃないですよ。中には、さらに避難先の国から、遠くの国に逃げようとする人たちもいるんです。
運営者 一種のパラノイアですね。月まで行ってください。
木下 僕はこの問題はすごく本質的な話だと思っています。だけどこの問題はここで止めておきましょう。
■木下黄太氏インタビュー
今そこにある「放射能危機」の本質 2014年4月
「放射能防御」と脱原発を巡る、もろもろの事情 2014年7月
被曝回避、放射能防御の現状と展望 2014年11月