「大企業の看板」の神通力は永遠か
小峰 尚
小峰 だから、そこら辺は僕もまだ結論出てないけど、やっぱりそういう、人を見た目で選ぶ会社はうまくいくのかどうかはわからない世界ってやっぱりあるわけでしょう。30分話をして、人事が「こいつはやれそうな奴だ」って見る目を持っている会社と、次から次へとベルトコンベヤ式に人を見て、「エイッ」て決めちゃう会社と。
運営者 まあ、小峰さんがおっしゃりにくいことを僕が翻訳して言うと、要は、人事の力量というものがあって、そこを乗り越えられない場合もあるということですよね。
でもやっぱり、外人のビジネスマンが身だしなみに気を使うのって当然だと思うんですよ。吊しのスーツではいかんとは言わないけども、そこはやっぱり、相手との一期一会が勝負なわけだから、駄目ですよね、そんないい加減な感じじゃ。最初からやっぱり「相手に自分がどう見えているか」っていうところまで計算できなかったら、ちょっと無理でしょう。
小峰 でも案外僕らってそういうのって、そんなに意識してなかったんじゃないかな。
運営者 それは後ろに大企業の看板が光背のように輝いていて、相手はそれを見ているわけですよ。
小峰 だから靴がピカピカじゃなくてもべつに、「だから何なの?」って言っていられるから、そういうことできちゃうわけでしょう。
運営者 僕、今日の昼飯で会った経営者の話を聞いて思ったのは、彼は組む相手とか、商売する相手を選ぶのに、相手を見て選んでいるわけですよ。。看板は見ていない。相手見てるんです。自分のパートナーに相応しいかどうかをね。それは当然なことであって、それやってない人は、やっぱりビジネスはきついかなと。
小峰 みんな岡本君に言うと、当然の話になっちゃうかな。
運営者 逆に言うと、そうじゃない人が多いっていうことは、十分よくわかるんですけどね。ただ、僕が会社で嫌われたのは、結局そういうことだと思うんですよ。「当然のことができていない」と若造にうるさく指摘されたら、人間怒りますわな。
小峰 ある意味では"飛び出すべくして飛び出す"、そういう人もいるし。そういう人は無理にしがみついていたって、本人も周りもアンハッピーだし。
運営者 そこから見ていきたいのは、そういうふうな人間が組織の外に出るとするじゃいですか。それでも会社っていうのはもつのかっていうことです。俺はもたないと思いますよ、はっきり言って。だって言ってみれば、狩に行く人間がいて、それが餌運んで来てたわけでしょう。そいつらが組織の外に出ちゃうわけじゃないですか。するとあとは名前(ブランド)が残るだけですよ。虎は死して皮を残し……。
小峰 結局企業が衰退していくのは、そういうこともあるんでしょうね。優秀な人材が、上がり調子の時には集まるし、左前になり始めたらみんな逃げちゃうから、ますますどんどん奈落の底に落ちて行くと