求人トレンド1. 人事・財務
小峰 尚
運営者 じゃあ今度はトレンドとして伺いたいんですが、どんな業種のお客さんが増えてますか。
小峰 やっぱり、一つ傾向としてあるのは、まず人事の仕事。これは新しい、要は欧米流の人事制度がわかっている人が必要とされています。
運営者 そんな奴いませんって。そういう人事部門、まあHRですかね。そんなのしかし、日本企業から取ろうというのが間違っていると思うんですけども、僕。
小峰 例えばだから、米国子会社のHRに日本の人事の人間が行くわけでしょう。で、日本人の出向者の管理をするだけじゃなくて、アメリカ人の人事制度もアドバイザーとして色々見聞きする。カルチャーを理解していると。その経験が日本で外資系の人事で生きるというわけです。
運営者 でも、人事っていうのは戦略部門ですからね。ほんとに使えるのかなあ。
小峰 そういう意味で言うと、外資系の人事というのは、そんな戦略部門じゃないんですよ。要するに人事というのは、現場のニーズに対して、人を見つけて来て、サポートするのが人事であって。
運営者 そうか、現場が強いんだ。
小峰 人事部門の位置づけが日本にいる外資系企業の場合は、そんなに強くなくて、あくまでもサポートスタッフの位置づけなんですね。アメリカ企業でも、「企業は人なり」って言いながら、日本みたいに人事が本流ってことは少ないでしょう。
運営者 そうでしょうね。
小峰 そういう意味で言うと、今日本で引っ張りだこになっているのは、そういう、欧米流の人事制度がわかっている人っていうのは、売れるわけですよ。
もう一つは、外国資本が日本企業を買って、本国へピシッと財務関係のレポートができる財務専門家。こういうのも結構今ひっぱりだこ。コントローラーっていう意味ですね。監査役みたいなもんですよ。日本の何もしない幽霊監査役じゃなくて。
運営者 私やってます、一個(笑)。
小峰 それはもう、本当に日本の経営陣をチェックする機能で、いざとなったらダイレクトに親会社に、ご意見番として行ってモノが言えると。
運営者 松下電器の経理社員みたいなもんだな。そういうのはどこから探してくるんですかね。
小峰 それは大企業の子会社であったり……、本社の中にはあまりいないですね。あるいは海外の子会社で、CFOを経験した人。
運営者 あるいは本社で関連会社の統括部門をやってたような人ですか。
小峰 その時もやっぱり、英語が出来てコミュニケーションが出来ないと駄目だから、どうしても海外に行ったことのある人です。そういう意味でいくと、海外に行った時に、うまく現地で生活をエンジョイしてたような人でないと、外資系企業への転職というのは厳しい場合がある。
運営者 そのエンジョイの意味って、どういう感じで捉えればいいですかね。
小峰 要は日本人部落の中で凝り固まっているんじゃなくて、隣近所ともフランクに会話が出来、物怖じせず飛び込んで行って交流していたっていう。「英語力」じゃなくて、そういうマインド、人柄ですよね。ブロークン・イングリッシュでも隣近所が、最後に帰国するので家を出ていく時に、ちゃんと見送ってくれるような、近所づきあいが出来ていた人とかね。