求人トレンド2. ITベンチャー・企業経営再建
小峰 尚
運営者 その他の職種はどうですかね。「いやー僕は人事畑でもないし、エクセルは苦手だし財務も知らないんだ」という人のために。
小峰 あとはセールス部門。
運営者 業種としてはどの辺ですか。
小峰 業種というと難しいな。今は鉄鋼なんか何もないですよね。日本に進出してくる鉄鋼メーカーなんかないでしょう。
自動車は今は輸入車側がよくないけど、まあそこそこポストはある。やっぱり今はeコマース関係、IT絡みの……。
運営者 どの辺ですか、ポストとしては。
小峰 うちでやるのはだいたい年収が1500万以上だから、やっぱりVPだとか、ダイレクターぐらいまでかな。部長級ですよね。それはマネージメントノーマルってことだから、日本の企業ではマネージャー、課長ぐらいはやってないと、いきなりはそういうポストは取れませんよ。
運営者 ここは一つ伺いたいとこなんですよ。今、シリコンパレーで成功したビジネスモデルをそのまま日本に持ってきて、公開しちまおうというビジネスが多いと聞きます。そういうところで求められる人材っていうのは、どういうふうな感じですかね。
小峰 それは、日本になかなかいないんです。必要なのは、セルフスターターで、リーダーシップがあって。
運営者 それって全部やれっていうことでしょう。要するに自分で起業できる人。
小峰 そうそう。だからそういう人は何もそんな、雇われなくたって自分でやればいいわけでしょう。
運営者 そういう人材をクライアントは求めているんですか。
小峰 ストックオプションを出して、処遇するとかね。
運営者 そういうところの人って、大概他の外資系企業のマネジメント層をやってる人間が移るのが、多いんじゃないかと思うんですけどね。
小峰 でも、最近は外資系企業じゃなくて日本企業からも、いきなりそういうところへ行くけど、うまくいかないかもしれないね。
コンサルティング・ファームの人はそういう案件を知ってるから、手を挙げやすいでしょう。で、コンサル業務を通じて、「お前、やってみろ」ってそそのかされるんです。
運営者 いいじゃないですか。だってストックオプションあるし。それで、ちょっとしんどいけど、2年も辛抱していれば、10億20億になるわけでしょう。これはなかなか魅力だなと僕は思うんですけど、みんなどう言ってます? ストックオプションに関しては。
小峰 ストップオプションは、最近はだから国税が色々ね。
運営者 摘発された日本マクドナルドの件。
小峰 そうそう。だから、まあそんなにうまみは実際にはないね。
運営者 そうなんですか。もう公開直前の企業だと、かなり……。
小峰 株価は高くなっているということですよ、5万円で買った株が1億円になるってことはないと。
運営者 それはだって、公開まで3ヶ月前だったら100万にはなってますからね。それでもIT関連だと結構上がるんじゃないかな。
小峰 そこはだから、本当に上がるかどうか。このビジネスが上手く行くかどうかっていうところで。でもその直前になってきたら、ある程度ビジネスが立ち上がっているわけだから、その時に買っても遅いんだよね。
運営者 ネットベンチャーに必要な人はそうすると、マネージメントが出来る人っていうことですかね、だいたい。
小峰 やっぱりそうでしょう。あとは要するに、決められたことをピシッと着実に実行する力。
運営者 本国のプランに従って着々と。
小峰 で、少々の障害があっても乗り越えて、強引に進むときは進む人。
運営者 そういう人がベンチャーの切り盛りを……。なにかベンチャー経営者っぽくないかもしれないな。
小峰 だから最近増えているのは、例えば、経営の怠慢と放蕩で潰れちゃったど、本体のビジネスはそれなりにしっかりしているような場合は、「じゃあ、会社更生法で全部綺麗にしてから、コアのビジネスだけでやっていこう」という会社のトップというのを探してるっていう話がよくあるわけですよ。経営再建請負業のプライベート・エクイティのファンドなどのクライアントです。
それから、自動車部品メーカーなどの業界はこれから再編になるだろうと。そうしたときに、経営再建が出来る人などはニーズが出てくるでしょう。