みんなのために役に立つことをやろうとする気持ち
運営者 それで今回の本題というのは、「社会人が本来備えていなければならない価値としてのパブリックマインドとは何か」ということなんです。
瀬口 極めて単純で、「みんなのために役に立つようなことをやろうとする気持ち」ですよね。
運営者 世の中の人がみんなそうした気持ちを持っていれば、ここまで危機が深まることはなかったのではないでしょうか。これだけの信用崩壊は起こらないでしょうし、ここまでみんな疑心暗鬼にならないでしょうし、「自分さえよければいい。世の中を引き行き倒してもいい」と思っている人たちが跋扈しないと思うのですが。そこに僕はやっぱりものすごい怒りを持っているのですが。
瀬口 そこはやっぱり、教育ですよね。15歳までに、「みんなのために尽くすことによって大きな喜びを得られるんだよ」ということを教えて「自分はみんなのために何ができるのか」と考えさせてないからでしょう。
運営者 実感する機会がないんでしょうね。
僕自身は2つ思い出すことがあるんです。
僕は子供のころから親に「正直であれ」ということをさんざん聞かされて育ったんです。だから「とにかくウソつきたくない」というのが徹底されていました。それは自分に対しても嘘をつかないということなのですが。とにかく正直の上に「バカ」がついていますよ。今でもそうですが。
もうひとつは、小学校1年から3年まで通った学校が、こども赤十字というのに入っていまして、週に3回やる朝礼でこのこども赤十字の歌と、こども赤十字の誓いというのを唱和させられるわけです。それでそのこども赤十字の誓いの一番最後にある言葉というのが、今でもはっきり覚えていますが、「私たちは世のため人のため、国家と社会のために尽くすことを誓います」というんです。
それで僕は単純バカですから、「そうか、他人のために尽くすべきなんだな」という目的をその時に刷り込まれちゃってるんですね。まったく我ながらバカだなと思うんですけど、そんな簡単なことで洗脳されてしまったんです。