「人から感謝される経験」が感性を育てる
瀬口 それで、人から感謝されてうれしかったという実体験がそれに重なっていったんでしょうね。
人間というのは、生まれつき「人から感謝されてうれしい」という気持ちを持っているわけではないと思うんです。たぶん両親が、何度も何度も他人から感謝されて喜んでいる姿を見て気がつくんだと思いますね。だから子供心に、「人から感謝されるとこんなにうれしいものなんだ」ということに気がついたのではないでしょうか。
生まれた時には、そういう可能性をみんな持っているはずなんです。だけど親が、自分の前で他人から感謝されている姿を見ないことには、その可能性は開花しないわけです。
それで、多くの人の場合、小学校6年生くらいまでの間に、その可能性を開花させることができれば、その後もずっとその感覚は残るはずだと思います。ところがそういう経験がなかった場合、「他人に何かやってあげて感謝された時に、すごくうれしく思う」という感性が自分の中で育たないのだと思います。
運営者 そうしますとですね、どの時代にもだいたい、世の中の人間が10いるとすると、その内の2割はパブリックマインドを備えているでしょう。そして6割の人間はだいたいどっちつかずだとして、後の2割の人間は「神も仏もあるものか」と思っている。この比率はどの時代も変わらないと思うんですよね。
だけど、世の中のリーダーとなる人間は、パブリックマインドを備えていてほしい。少なくともそういう教育を受けていてほしいと僕は思うんですけどね。そうでなければ、人様の上に立ってはならないのではないでしょうか。
「それはなぜか」と聞かれたら、「いやそうに違いないんだ」としか言いようがないんですけれど。
瀬口 全くそうだと思いますよ。
運営者 でははたして現状そうなっているか、というのが問題です。