プロの仕事にはパブリックマインドが反映されている
瀬口 リーダーの自覚を持った人間が、そうしたポストに就かなければならないはずです。
運営者 パブリックマインドを持っていることが、リーダーの絶対条件であるはずですよね。
しかしそれを持っている人間は2割しかいない。後の人間は公益とはなんなのかさっぱりわからないわけです。そして年功序列で順番に出世していくことになっている。彼らは聞くと思うんですよ、「パブリックマインドっていったい何なんですか、私さっぱりわかりません」とね。
瀬口 みんなのために役に立つようなことをやろうとする気持ちですよ。
運営者 自分の利己心を満たすだけでなく、世の中、国家、社会全体のために積極的にコミットしようという意思表示ですよね。
だけど僕は、プロフェッショナルであるならば、自分の職業を通して、それができているはずだと思うんです。パブリックマインドは仕事に反映されていなければおかしいでしょう。
瀬口 もちろん。
運営者 パブリックマインド抜きで仕事をやっている奴がやっているのは、仕事ではないと思うんです。
他人に喜ばれる仕事をやっているプロフェッショナルであれば、仕事を通して気持が世の中につながっているはずです。その気持ちは自然に仕事以外のところでパブリックマインド持つというところにつながっているはずなんです。
従ってパブリックマインドを持たない人間というのは、プロとしても失格である。社会人としてレベルが低いと言うことができるのではないでしょうか。
瀬口 人が仕事する目的は、やっぱりいい家に住みたいとか、いい車に乗りたいとか、豪華な旅行をしたいとか、物質的な価値を求めて幸福を感じる人が多いというのは事実だし、それが自然な感情だと思うんですよ。
「自分は貧しい家に住んでも、車が買えなくても、みんなに喜んでもらえればそれで幸せだ」と思える人間は、比率としては少ないと思います。だけどそれが「士」なのではないでしょうか。
運営者 そういう人々の欲望をコントロールして生産性のある方向に向けるシステムとして、自己組織的に出来上がってきたものが資本主義のシステムだと思うんです。
だから資本主義の中で、利益を優先して会社がどんどん大きくなってきたとしても、自分だけが利益を独り占めしていたのでは、目的である利益を最大化することができないという局面が必ずくるはずなんですね。そうすると、どちらにせよ公益に目を向けざるをえないことになると思うんです。