日本を変えるには地方自治と教育が重要だ
運営者 どうしてNPOを設立されようと思ったんですか。
瀬口 元々は、大学を卒業して以来いろいろな勉強会をやっていて、ここ10年くらいの間は「シンクタンクが必要だな」という話をしていた。それと、「日本を変えていくには地方自治と教育が重要だ」という結論にも達していました。
運営者 実はその勉強会のひとつには僕も出ていたのですが、大変勉強になりました。情報公開法制定の流れを見てもうわかるように、実は地方自治体からシステムを変えていくという方法が最も有効であるということには、われわれはなかなか気がつかなかったですね。目からうろこが落ちました。
瀬口 教育については、世の中の人の意識をどうやったら変えられるかという話をしていて、「10歳の子供を10年間教育すれば、選挙権を持つんだから、教育というのはバカにできないよ」という考え方でだんだん注目をしていったと思います。
「ここは人間の基本だから、どうやってもやりたい」と僕は思っていましたが、「初等中等教育の問題は扱い方が難しい」ということでみなさんあまり最初は乗り気ではなかったですよね。Nさんがすでに逗子市の小学校でおやじの会をやっていて、その経験が勉強になりましたね。
運営者 皆さん、政策の立案や法制化が得意な人たちでしたが、学校教育となるととっかかりがないので、ホントに困ってましたね。そうしたら瀬口さんが、学校の校長先生とか、現場の先生を呼んできて、それで話がぐっと具体的になりました。ある程度現場が分からないと、手につかないですよ。
それと、瀬口さんはその後小学校の教室に乱入して、小学生にお金の話を教えに何度か行ってらっしゃいましたね。僕もネタを考えようと思ったのですが、僕の仕事だとなかなか小学生の興味を2時間もつなぎとめておくものがなくて、「大人を騙して読ませる本は書けるけど、小学生の厳しい目には耐えられないな」と嘆きましたよ。
瀬口 杉並区の教育委員会も熱心にバックアップをしてくれたので、それで突破口ができました。
運営者 杉並区は本当に先進的な自治体ですね。山田区長だけではなくて、幹部のみなさんもまったく徹底した顧客志向性を持っていて、それを中核にして意識的に仕事を組み立てていることが、何度かお訪ねして意見交換する中でわかりました。
しかもみんな頑張って残業して働いているし、ちゃんと意味のある仕事をやっている。驚きました。下手な今どきの会社に較べると、よほどしっかりしてますよ。素晴らしいと思いました。