HOME > オペラ・クラシックコンサート便り > 2013年9月ミラノ・スカラ座来日公演《リゴレット》

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |


ナビ1ナビ2ナビ3ナビ5
ナビ4ナビ6

2013年9月ミラノ・スカラ座来日公演《リゴレット》(9月15日NHKホール)

武田雅人

指揮:グスターボ・ドゥダメル
演出:ジルベール・デフロ
美術:エツィオ・フリジェリオ
衣裳:フランカ・スクァルチャビーノ

リゴレット:レオ・ヌッチ
マントヴァ公爵:ジョルジョ・ベッルージ
ジルダ:マリア・アレハンドレス
スパラフチレ:アレクサンドル・ツィムバリュク
マッダレーナ:ケテワン・ケモクリーゼ
ジョヴァンナ:ジョヴァンナ・ランツァ
モンテローネ伯爵:エルネスト・パナリエッロ
マルッロ:セルジョ・ヴィターレ
ボルサ:ニコラ・パミーオ
チェプラーノ伯爵:アンドレア・マストローニ
チェプラーノ伯爵夫人:エヴィス・ムーラ

 とにかく、ヌッチの至芸もそろそろ聴きおさめ、と思うのでそれなりに楽しめる公演ではありましたが、ドゥダメルの指揮は多少疑問の残るものでした。
 もちろん、《アイーダ》や《オテッロ》ならまだしも、リリコ系の歌手が中心となる《リゴレット》をNHKホールという大きすぎる容れ物で上演する、という悪条件は考慮に入れる必要はあるでしょう。
 それにしても、アンサンブルの場面で合唱やオケの音が大きすぎてソリストのメロディーラインが聴こえにくいことが時々あり、バランスが悪いところがありました。よく統率されていて小気味よく疾走するオーケストラは、若手の実力者らしい溌剌とした生きのよさと熱気を感じさせるものではあったのですが、日本公演最終日であるにも拘らず、歌手(特にヌッチ)との呼吸がしっくり合わないところが随所にみられました。
 なんだか、「俺は伴奏屋じゃないぞ」と一所懸命にリキんでいるようで、歌が主役というイタリア・オペラ、しかも、71歳のレオ・ヌッチ日本最後(おそらく)の晴れ舞台、ということをまるでわきまえていないように見受けられました。先月ヴェローナで聴いた同じヌッチ主演の《リゴレット》を振ったリッカルド・フリッツァとは劇場指揮者としての実力の差は歴然です。記念すべき公演にスカラがなぜこの指揮者を選んだのか、という疑問符は消えないまま残りました。

 それはさておき、主役のヌッチ。「至芸に磨きのかかった枯淡の境地」と言いたいところですが、それとはちょっと違います。往年の声の輝きこそ少し衰えがみられるものの、だからといって年寄臭くしょぼくれた道化役を造型する気は微塵もないのでしょう。父親としての不安、怒り、哀しみを声と演技のエンジン全開で表現します。
 なんと、ヴェローナの時と同じように第2幕フィナーレの二重唱後半部分をアンコールしてくれるなど、例によってサービス精神満点。指揮者のひとりよがりなどどこ吹く風で舞台を支配する「座長」の貫録十分でした。

 今回の公演で特に注目したいのは、若手の主役のふたり。なかでもジルダを歌ったメキシコ出身のソプラノ、マリア・アレハンドレスは、なかなかの逸材と感じました。高音の安定感、フレーズの終わりの声の切り方、アジリタの切れ、などに課題はあるものの、なんといっても声の響き(リンギング)の良さが際立っています。倍音がたくさん出ていて、リリコ系の軽めの声にもかかわらず広いNHKホールを満たして響き渡るさまは、往年のフレーニやグルベローヴァに匹敵するものがあるように思われます。
 第1幕第2場のアリア<Caro nome…É(慕わしい人の名は)>では、様式感も確かで、この曲のカンタービレの美しさをかならずしも理解しているとは思われない「伴奏」にもかかわらず、しっとりとした情感を漂わせた見事な歌唱を聴かせてくれました。
 ヨゼフ・カレーヤのキャンセル(METに続く2回目)によって来日したピサ出身のテノール、ジョルジョ・ベッルージも、イタリアのリリコらしい声の甘さ、フレージングの柔らかさ、巧みな弱声の使い方などを身に着けていて、特に文句をつけるところのないマントヴァ公爵だったと思います。
 全3幕にわたってソロにアンサンブルに出番が多く、難しい歌唱が多いわりには、能天気な好色漢を演じなければならない損な役柄をしっかり演じていました。

 準主役のスパラフチレとマッダレーナも合格点。特にグルジア出身のメゾ、ケモクリーゼは、容姿がこの役にぴったりで、色っぽい演技が決まっていました。
 問題は、脇役ながらこのオペラのキーロールというべきモンテローネ伯爵。往々にして非力なバス・バリトンが配されることが多いのですが、残念ながら今回もご多聞に漏れず、ドラマの鍵を握る「モンテローネの呪い」が十分に発動されたとはいえない結果となりました。「総本山」のハウスの実力はこのような部分の配役にこそ見せてほしいものです。

 デフロ、フリジェリオのプロダクションは、ムーティ時代の1994年からのもの。衣裳も含めてきわめてオーソドックスで美しい舞台で安心感があります。
 ただし、第1幕第2場でジルダが歌いながら登るバルコニーや、第3幕でマントヴァ公爵が泊まる部屋などが歌手に負担をかける3階部分の高い所にあったり、人物の出入りや動線が不自然に見えるところがあるなど、長く使い続けられたものわりには疑問に感じる部分も多いものでした。



スクリーンショット 2013-02-19 16.11.15.pngスクリーンショット 2013-02-19 16.11.30.png





愛媛4区 桜内ふみき 公認会計士サイト運営者は桜内ふみき氏をサポートしています



人間力★ラボ



「人間力」エピソード





ナビ1
ナビ2
ナビ3
ナビ4
ナビ5
ナビ6


芦川淳氏   自衛隊vs.人民解放軍 我らもし闘わば
芦川淳氏   原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた!
芦川淳氏  沖縄の基地問題など、国防を考える3
田代秀敏氏 「混沌の大国」中国と中国人を知る

神保哲生氏  今更なんですが、「ジャーナリズムとは一体何なのか」
三神万里子氏 メディアの「情報信頼性評価基準」を考える

山田恭路氏 自然派ワインに首ったけ
川村武彦氏+山田恭路氏 「天才の国」イタリア自然派ワインの真実


野中郁次郎氏 ナレッジ・ワーカー育成講座
本間正人氏  コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか
三ツ谷 誠氏  市場、個人およびカイシャの一般法則
織田聡 氏   カイシャ文化の現在を問う

「国ナビ」で作った予算対案を衆院本会議に提出/桜内文城 氏
竹中平蔵氏  なぜいつまでたっても「改革」できないのか
中林美恵子氏 アメリカ議会に見る「機能する立法府」のあり方
瀬口清之氏  パブリックマインドとは何か

小西達也氏 「チャプレン」という仕事 ヴェルディ&ワーグナー生誕200年 記念座談会
爆笑座談  オペラ愛好家とはいかなる人種か?
METを観たら、METを読もう!
2013年夏のヴェローナ音楽祭/武田雅人
2010年夏のヴェローナ音楽祭/武田雅人
2007年夏のヴェローナとマチェラータ音楽祭/武田雅人
偏愛的オペラ談義

ネット起業! あのバカにやらせてみよう
ベネチア貿易船復元計画
江戸城再建計画
『日本の借金』時計への勝手リンク
12-13イタリア旅行
11ヨーロッパ紀行
04ヨーロッパ紀行
02ヨーロッパ紀行
フィリピン有情
佃点描
ぼくはこんな記事をつくってきた
余は如何にして編集者となりし乎
雑誌づくり講座

4秒でわかる Pin Point ワールドカップ2014
4秒でわかる Pin Point ワールドカップ2010
日本のサービス、ここが間違ってる
爆笑! 四酔人サイト問答
女子大生版「日本のカイシャ、いかがなものか」 丸山真男と日本の外骨格
藤原正彦先生論文「国家の堕落」を読む
金融工学は製造物責任の夢を見るか?
酒飲みの「旅行話」
台灣好好 日本よりも日本らしく
さる名門女子大における恋愛論講義
人間力営業
「人間力」101本勝負メールマガジン
「人間力」とは、大人になることと見つけたり

最後に勝つのは「新日本人」だ
「新日本人/旧日本人」モデル
「新日本人」論 対話篇
「カイシャ主義」に挑戦! “オープンソース型ビジネスマン”の生きる道


誰が神を殺すのか
構造改革とは意識改革である
現代都鄙問答
一億総中流の倫理崩壊
完成! 「新日本人ルネサンス論」
日本人の田舎者意識の精神史的地位

鈴鹿市の見える歯科治療・歯科CT 仙川駅前の皮膚科・気管支ぜんそく 長引く咳  東京都 高輪矯正歯科・八重歯  税理士法人浅野会計 名古屋市の相続承継・会社設立 ひかり歯科 千葉のキッズ予防歯科 スタッフ 匝瑳市 デリバティブ 仕組債・仕組預金の商品分析に関する解説 他社株転換債 社員研修 マナー研修 身だしなみ愛西市近くの審美歯科

銀座の老視矯正 コンタクトレンズ制作眼科豊田市にある内科・点滴・相談漏斗胸・胸郭変成の外科治療専門サイト千葉市 心療内科・椿森・うつ医療ホームページ/クリニック/医院/診療所の集患増患コンサルなら

金沢区/内科 かぜ国立市/内科 糖尿病治療 中央線介護の管理者/アルバイト/パート|三重県鈴鹿市・安心シンプルな手術法、漏斗胸治療デザイナー求人戸塚クリニック 横浜市戸塚区 内科笹塚 メガネは眼科で相模原市南区の内科 動脈硬化

鶴見区/整形外科 リハビリ科浜松市/ALTA療法 痔の相談 薬物療法青森市役所横/横内耳鼻科医院開業セミナー
大阪市の肛門科専門医取得・静脈瘤治療・内視鏡検査アルタ療法講座 治療概念町田駅近くのたむら整体院サイト 顎痛松山の漏斗胸治療・救急科案内ル・サロン 柿本葛西駅/整体 頭蓋オステパシー 相談怪我やヤケドなら形成外科へ