日本人の血に3拍子は流れていない
T女史 あれって、基本的にはウィーンフィルに任せておけばいいわけだから。
手塚 どこかに書いてあったけど、今までニューイヤーコンサートを振っていたヨーロッパ系の指揮者は、ウィンナワルツでウィーンフィルを「指揮」するなんて大それたことはしない。オーケストラの前に立ってるだけで、後は楽員が適当にやっている。ところが小沢は指揮をしていたんだな、これが。おお真面目な顔をして・・。それをいいことだと思うか、悪いことだと思うか。
T女史 私、「筋肉番付」(裏番組)観てたんですけど。
手塚 プログラムは、圧倒的にポルカが多かったよね。ワルツは少ない。「ウイーン気質」とあと1曲くらいじゃなかったかな。、「こうもり序曲」だってワルツの部分はあるにしても序曲ですからね。
要は彼は、2拍子系のもので押し通している。2拍子は行進曲の世界だから比較的やりやすいのでは。よそ者のアジア人が指揮しているデメリットが隠れるよね。
T女史 4分の3拍子は避けていると。
手塚 日本人の血に3拍子は流れていないという説がある。
T女史 アジア人で2人目だそうですね。
手塚 ズビン・メータに続いてね。いかに彼がウィーンに留学して、スワロフスキー門下でヨーロッパのイメージを出していても、生まれはどう考えてもアジア人ということ。インド人だからね。今何やってるんですか、あの人。
池原 結構ニューヨークフィルとかイスラエルフィルとか振ってますよ。
あとね、いとこのベジュン・メータというのがカウンターテナーで頑張ってます。もともとテナーで鳴かず飛ばずだったんだけど、カウンターテナーになったら自己表現が巧くできたみたい。昨年夏のサンタフェ・オペラで彼が「ミトリダーテ」に出るはずだったのに、その日不調だということでドタキャン食らって腹が立ったことがあったなあ。ニューヨークシティーオペラでもかなり評判がよくって。カウンターテナーはデリケートだから、キャンセルも多いのかもしれない。
岡本注:おめでとうございます! こんな話をしていたT女史は、2月8日に、「小澤征爾&ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート2002」の山野楽器での1万枚目の購入者として、山野楽器銀座本店でオーストリア大使館の公使から記念品(オーストリアの誇るブランドアウガルテンの陶器)を手渡されました。その時通訳をしていたのがなんと井上嬢。あまりの偶然にお互い驚いて、パニックった井上嬢はほとんど公使の話を聞かずに即興で翻訳していたとか。一方のT女史女史は公使とドイツ語で話していたということで、なんだかわけがわからんことに……。 |
この座談は2002年正月に行ったものです。