盛田さんって普通のオジさんじゃん
私は盛田さんが「今年のラインの黄金は、ラインの乙女たちがみんな全裸で出ていたんだよ」なんて鼻の下を伸ばしながらうれしそうに感想を語るのを聞かされました。「まあ斬新的な演出ですね」としか答えようがありませんでしたが。
手塚 なんだ、普通のオジさんじゃん。親しみわくなー。
で、それはショルティが指揮した、ピーター・ホール演出のやつだ。舞台にプールを作って、ラインの乙女たちが歌いながら全裸で泳ぎ回る。それを大きな鏡に映して観客に観せていたという。ラインの乙女の3人のプロポーションも問題だし・・・。ジェシー・ノーマンみたいなのじゃ本当にトドだ・・・・・。
それにしても日本でやるのは難しいだろうなぁ。
池原 どこのオペラだったか忘れたけど、日本に来日公演した時に皇太子も観に来ていたんだけど、ちゃんとヌードでやっていたという例もありますよ。「サロメ」だったかな?。
手塚 「7つのヴェールの踊り」ね。古今東西でもっともゴージャスなストリップ・・・。あるいはゲッツ・フリードリヒあたりが演出した「タンホイザー」のヴェーヌスベルクの場面の演出も結構エグいですよ。こっちかも。序曲の後のヴェーヌスベルクの音楽が異常にグロくてエッチなバージョンがあって。
もともと「タンホイザー」は若書きだったからもっと健全なエロさだったんだけど、パリで上演するのにバレエが必要っていうことで序曲の後に新たにバレエ音楽を挿入したんですよね。これがもう「トリスタン」も書いた後の晩年だったから、腕によりをかけたエロチックさでして・・・。その不健全な音楽になったところで裏で怪しげなバレエが始まる演出なんですよ。僕はビデオで見たんですけど。
一同 そうそう、それですよ。
岡本注:これは1996年5月30日の、ハンブルグ歌劇場来日公演の「タンホイザー」のことでしょう。演出はクプファーで、ルネ・コロがタンホイザーを歌いました。序曲の間、舞台はヴェーヌスベルクのシーンで、トップレスのダンサーが集団で怪しげな踊りを踊っていました(ボディー・スーツ着用かも)。 皇太子皇太子妃は2階席の最前列中央で観劇していました。私も観ていましたが、オペラを観に行ってこれほどオペラグラスを忘れたのを悔やんだことはありません。この舞台はこの年の年末にNHKで放送されましたが、トップレスの場面は巧みにカットされていました。 その逆もあったよ。スカラ座で見た「ジゼル」は最後に男性がヌードに・・・。 とまれ、みんな詳しそうにそうに話しているけど、いかにいい加減な話をしているか、よくわかりました。 |
この座談は2002年正月に行ったものです。