カレーラスには情けない男の役がよく似合う
手塚版ドリームキャスト
ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」
ウォータン:ハンス・ホッター
ブリュンヒルデ:ヒルデガルト・ベーレンス
ジークムント:プラシド・ドミンゴ(若いころの・・・)
ジークリンデ:ルチア・ポップ(同上)
フンディング:マルティ・タルヴェラ
フリッカ:クリスタ・ルードヴィッヒ
ワルキューレ:アグネス・ヴァルツァ、カタリーナ・リゲンツァ他(ちょっとヘビーかな?)
管弦楽:ベルリンフィルハーモニー(70年代半ばの:ジェームス・ガルゥエイがフルート、ローター・コッホがオーボエ、カール・ライスターがクラリネット、ゲルト・ザイフェルトがホルンのトップを吹いている……)
で、自分で指揮して、最後のジークフリートの主題をトロンボーンが朗々と奏でるところで涙を流しながら強烈なリタルダンドをかけて・・・(一同無視して他の話をしている・・・)
井上 私の場合はですね、生まれて初めて聞いたオペラというのが、カラヤン指揮の「カルメン」で、アグネス・バルツァと、カレーラスが病気になる前に歌っていたという、すごいもの聴いちゃったんで……。
池原 それは、思い出ですね。良い組み合わせですね。
井上 凄かったですよ。しかもタダだったという(笑)。「ただでチケットもらったから行ってみよう」というのが。
あれは、あの時代のものだったのかなと、すごく思うんですよ。カラヤンって独特だから、今あの上演を聞いたら、その時と同じように感じるかなというと、それはまた違うと思う。時の流れとか、今の流行というのがあるから。今聞いたら、「くどい」とか、「古くさい」とか。
T女史 いまカレーラスを聞いても、ちょっと。
手塚 その時点のバルツァは最も良かったころだよ。カレーラスは、一番ホセに合っている。「この後白血病になるんだぞ」という感じがして、悲劇の人だよね。オテロという感じではない。
T女史 私はカレーラスはホセを歌うために生まれてきたと思う。「ラ・ボエーム」とか「アンドレア・シェニエ」とか、あーいう情けない男の役はほんとに合ってますよ。
この座談は2002年正月に行ったものです。