ワーグナーは安室奈美恵に通じている
手塚 オペラってのは基本的には、暇のある人、有閑階級の人じゃないと聞けない芸術なんだよ。時給500円で動いている人は聞いてはいけない。
運営者 「いけない」って言われても。だってイタリアに行ったらみんな歌ってますよ。
手塚 イタリアオペラは、杉良太郎ショウに近いんだから。大衆劇の世界だよ。
ドイツとはちょっと違う感じがするね。
運営者 ヒットラーがジークフリートという英雄像が好きだったというのは、ワーグナーのせいだと思うんですよね。
手塚 彼が一番好んだのが「神々の黄昏」だったというのは、象徴的かもね。
運営者 第三帝国は結局、ワルハラの城のように炎に包まれて崩壊してしまう。
手塚 あれは、「滅びの美学」だから。
運営者 あの時代は、ワーグナーの楽劇を庶民が見ることができたのかな。
手塚 浜崎あゆみや安室奈美恵とワーグナーの音楽は、どこか通じているところがあるよ。
運営者 すみません、わかるように説明してもらえませんか。
手塚 「パルシファル」の前奏曲って、旋律の調性が突然半音上がって、またそれがしばらくすると半音上がってという繰り返し。これって、安室奈美恵の「CAN YOU CELEBRATE?」や浜崎あゆみの「Seasons」の盛り上げ方と基本的に同じなんだよ。
基本的にその調性をはっきり出す音楽が鳴っていて、突然転調することではっと思わせるという、全く同じ構想。
ということは、ワーグナーはやっぱり、浪花節で基本的には田舎の音楽なんだよ。小室哲哉って確信犯でやってると思うよ。ウケそうな音階を。